ドロミティーがなかなか情報がたくさん出てこないのは、やっぱり公共交通機関がスイスのように便利にはできていなくて、なかなか個人旅行をする人がたくさんいない、という点があるだろう。この辺は日本の観光客受け入れ態勢としても考えるポイントにあるような気がする。テレビの路線バスで巡る三日間の旅、みたいな番組がまさにそのままの話で、あれはお笑い話じゃなくて、官公庁は真剣に取り組むべき話なのだ。多くの民営バス会社は許認可のせいなのか、県境をまたいだ路線というのをほとんど持っていない。だからあの番組ではしばしば県境をまたぐためにとぼとぼ歩いて見せたりする。あれは実はドキュメント番組なのだよ。
Bolzanoから180のバスに乗る。ここからはまず見事な佇まいを見せるカレッツァ湖を見に行くわけだけれど、バス停留所まできたら、先客がベンチに座っている。彼女がイタリア語で話しかけてきたから、想像で解釈すると、彼女が切符を見せてくれ、Vigo di Fassa行きで、でも実は私たちの最終目的地であるCanazeiだというのである。なかなか話が通じにくいので、タブレットの翻訳アプリを取り出して、「話して?」と言ったら「あなたを連れて行く」と言ってくれたのでグラッチェ!と返す。途中からどんどん人が乗ってきて、流石に今日は土曜日なんだなとわかる。カレッツァ湖は道路からすぐに見えるので、そこで別れた。実に美しい湖で、これは見にくるだけの価値は確かにある。道路の反対側にとても綺麗な施設ができていて、大きな駐車場、トイレ、お茶の店、おみやげ屋さんはあるけれど、コインロッカーはなかった。だから展望台から湖を一周する気にはならなかった。それにしても、多くのバイク、自転車、車がバンバンやってくる。
一時間後のバスに乗ったものの、この180番のバスは州境のPasso di Costalungaで終わる。運転手にCanazeiへ行くんだけれど、というとかれは次のバスで、Vigo Di Fassaで乗り換えるならその先の101のバスの停留所は500mくらい離れているんだという。ありがとうと分かれるが、かれも英語がわからないので、細かいことを聞くことができない。一体全体その180番と101番はどこからどこまで並走する路線なのかがわからない。
峠の停留所で次の180番を待っているとおじいさんとおばあさんがやってきた。この二人も全く英語は通じない。このふたりはVigo di Fassa(つまりファッサのヴィゴ)で勝手知ったると言った雰囲気で降りていった。終点じゃないかと思った停留所で降りたら、まだ乗っている客がいる。あれ?と思ったけれど、運転手にCanazei?と言ってみるとうんといった。
2018年7月1日日曜日
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