2015年5月30日土曜日

150530 (土)マインツへ遊びに行こう!

11日目

 昨夜はようやく夜中に目が覚めずに朝を迎えることができました。咳が少しおさまってきたようです。9時過ぎに朝ごはんに行くと昨日と同じメンバーが5人。昨日の夕方帰ってきた時に遭遇した東洋人の若い女性たちはもうとっくに出かけてしまったのでしょうか。

 このホテルの日本語ぺらぺらのおじさんは、結局日本人だったと判明しました。連れ合いが「上手な日本語ですねぇ」と話しかけたら「私、日本人ですから、尤もこっちへ来てからもう随分になりますけれど」とおっしゃったそうです。なら、何年前にこっちへ?と聞けばよかったのに、といったのですが、相当前のようです。

 今日はかねて計画していた通り、マインツへ出かけました。フランクフルト中央駅でどの切符を買ったら良いのか、よくわかりません。大体、ここの自販機は駅の名前がずらずらと出ているわけではないのです。だから、行きたいところまで有効な切符を探すのに苦労します。よく見たら「マインツ」とかいたところがあったので、そこを押し、グループ(5人まで)を押し、all dayを押したらそれで良いんじゃないかとその切符を買いました。27ユーロぐらいでした。損しているんだろうか?
 でも、帰りにマインツから乗って電車が走り出すやいなや検札がきて、それを見せたら何の文句も言わなかったので、ズルをしていることには少なくともなっていないようです。

マインツといったらサッカーの岡崎慎司です。でも、そういえばフランクフルトといったら長谷部と乾がいますよねぇ。マインツの駅を降りたら、駅構内の本屋のウィンドウにまさにその岡崎が立っていました。(写真だけれど)。(このあと岡崎は移籍してしまいましたねぇ。武藤がやってきたけれど。)

 なんで今日マインツに来たかといったら、土曜日でマーケットが立つと聞いていたからです。そして、来てみて大正解でした。大変賑やかで、華やかで、楽しいマーケットそのものだったのです。八百屋さんには盛りだくさんの野菜や果物。特に太いアスパラガスの山、山!大粒の欧州では初めて見たほど大きなイチゴ。

 大聖堂はなかなか大きくて、フランクフルトの大聖堂よりも数段大きなものです。ここにはカソリックらしき教会もあり、ちょっと離れた丘の上にはシャガールのステンドグラスがきらびやかな教会だってあります。なんだかフランクフルトに比べたらはるかにのんびり、ほのぼのしていて、なんだかオランダの街に雰囲気が似ているような感じがします。

マーケットのそばでピアノトリオにトロンボーンとトラッペットが加わった編成に小気味良い女性ヴォーカルでスタンダードジャズをスウィングする集団がいて、これが最高にご機嫌でした。多分彼らは自分たちが演奏するのが楽しくて出てきているんだろうと思わせますが、相当な手練のミュージッシャンです。どこかでゆっくり聞きたかった!



今まで一軒も遭遇しなかった帽子屋にここで遭遇しました。今まで出会ったことのない帽子がありましたけれど、気にいるカラーでなく、諦めかけてじっくり見まわしたところ、薄い紺の布で作られたゆったりしたキャスケット帽のようなものを発見。これ、採用!この帽子屋でアスパラを食わせてくれそうな店を教えてもらい、ついにアスパラガスも堪能。楽しくて、美味しくて、最高のマインツでした。

夜はオパー・フランクフルト(新しい方のオペラハウス)でモーツアルトの「ドン・ジョバンニ」です。手元のe-ticketをみると15ユーロで、多分一番上だぜ、といってジーパンの上に上着という格好で来てみると果たせるかな、後ろから三列目でした。
 まわりは高校生くらいの子供達で、こいつらが平気でスマフォでメールを書くは、動画で撮影はしちゃうは、注意をしたって知らんぷりで平気の平左だという大馬鹿さ加減。こんなにひどいオペラハウスは初めて見ました。そういえば昨年、ベルリンのコンサートホールで平気で動画撮影した観客がいたっけねぇ。このオペラハウスは上演前にも、インターミッション明けにも何の注意もありません。大人の小屋と言えば聞こえは良いのですが、これでは何の縛りもない、ということになりかねません。わからない人間には教える必要があるのです。
 作品の仕上がりといったら、私ごとき昨日今日のオペラ客がいうのもなんですが、男性陣の力不足は否めないところでしょう。東洋系アメリカ人のソプラノは歌は上手いんですが、山田邦子が出てきたのかと思っちゃいました。

 今日の悪口はここまで。






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2015年5月29日金曜日

150529 (金)博物館三昧 つづき

10日目

咳おさまらずやっぱり今朝も目が覚めたのはあさ9時半ごろ。夜中の3時ごろに咳で目が覚めて、小一時間呻吟した挙句に寝入り、4時間ほど寝た。多分合計で6時間ぐらい寝ているだろう。

食堂に行くと初めて見る人たちだらけ。いつもの朝飯。ここの朝ごはんは簡単だけれど、一回一人5ユーロでこんな安い朝飯は見たことがない。

 中央駅のインフォメーションに行ってトラムとバスの路線図をもらう。で、一日券のことを尋ねたらファミリーで10.50ユーロで買えるというので駅の自販機で買ってみた。これが簡単そうで、意外と簡単ではなかった。言語は英語が選択できるのだけれど、駅の自販機はDBの遠距離切符からSバーン、Uバーン、なんでも買える便利なものなものだから、グループチケットといってもどの範囲の切符を自分が買おうとしているのかが明確になっていないと選択のしようがないのだ。
 現金払いも紙幣でないと払えない。コインを入れる口がない。カードはデビットカードはOKと書いてあったが、クレジットカードは書かれていないので試さなかった。10.50を支払うのに5ユーロ札がなかったので、20ユーロ札を入れたらちゃんと9.50ユーロ分が5ユーロ札一枚とコインで出てきた。

駅前から12番のトラムで昨日も行った市庁舎前広場へ。今日は博物館が並んでいる川向こうをかたっぱしから攻めようという算段。まず入ったのは応用工芸博物館。工業デザイン製品が並んでいる一角であのひげそりや電動歯ブラシで日本では知られているBRAUNがオーディオ製品も作っていたのを初めて知った。彼らはこんな洗練されたデザインの製品をなんで日本に持ち込まなかったのだろう?デンマークのBANG & OLUFSENもデザインのおしゃれ感は抜群だったけれど、今見てもBRAUNのオーディオも負けず劣らずだ。この製品が出ていた頃の私がそれを買える身分ではなかったことは明確だけれど、もし可能だったら性能もさることながら、手元に持っていたいほどの機能美にあふれている。

実は今、応用工芸博物館で開かれている特別展はなんと「ブッダ」なんであります。インド、インドネシア、タイ、ビルマ、中国ときて、期待した日本の展示部分ではなんとどこから持ってきたのか馬頭観音と「仏」の文字を書いた書が二点、確かに良いお顔をされた仏様が一体。

 次に入ったのはフィルム博物館をスキップしてとなりの建築博物館。フランクフルトの斬新な新しい高層ビルの構想段階での様々な模型があったり、中国の大連で建設したビルの図面集なんてのが公開されていて興味深いが、何しろこっちは近代的な奇をてらったような建物に全く興味がないので、面白くない。むしろ某カメラマン(誰なのか、名前も見ていない)が一年間52週分52枚の写真の展示。彼はポンポンとニューヨーク、日本、カナダ、中国、チベットやら他の街を動いていく。お伊勢さまやら、陸前高田にまで行っている。

昼飯は某テレビ番組で出てきたお肉屋さんがやっているという店に行った。店の前にテーブルが出ていて多くの人がそこで食べているが、私たちは奥で、芋と、調理したものをお皿に盛って貰ってテーブルで食べた。奥は静かなもので、一人で黙々とご飯を食べている女性や高齢者ばかりだった。
 私はポークハンバーグとザワークラウトとマッシュポテト。連れ合いはビーフの煮込みと、ポテト。それに炭酸水ボトルを入れて全部で15.80ユーロだった。

 肉市場に行って昨日買ったパン屋さんで今日も買おうとパン屋に行って買っているうちに気がついたら後ろに東洋人のおばさんが立っていた。目配せをして行こうとしたら「日本の方ですか?」という声。なんでも九州の方で、一人旅をフランクフルトから始めたばかりで、帰国は来月末の予定だという。昼飯に赤ワインをたっぷり一杯飲んで良い気分だというくらいで陽気。昨日はケルンに行ってきたという。お子さんを育て上げて、ようやく楽しめると嬉しそうだった。

トラムに乗って当てもないところへ行こうという一日にするつもりだったのだけれど、どうも調子が良くない。途中からホテルへの帰還を決意する。4時半ごろに帰って、テレビのチャンネルをいじっているうちに寝落ち。一時間ほどで咳き込んで覚醒。いつものスーパー、REWEへいって水とサラダを買ってくる。

 フランクフルトの街中、街一番の繁華街を歩くとすぐにわかるのは物乞の多いことだ。ニューヨークのマンハッタンもかなりの数に上るけれど、アムステルダムではほとんど見ることのなかった物乞の数で、これはミュンヘンと良い勝負だろう。中には若者の集団で犬に芸をさせている物乞すらいる。こうなるともうなんで物乞をしているのか意味がわからない。






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2015年5月28日木曜日

150528(木)

9日目

 寝付きから早朝に目がさめるまで、どうも咳が止まらなくて、寝ていられない。その間に円はどんどん安くなって、対米ドルで124円強、対ユーロで135.20なんてことになっちゃっている。冗談じゃない!考えるのもおぞましい。こうなるとなかなか考えちゃう。

 今泊まっているフランクフルトのホテルの一泊60ユーロは相当に貴重で、その上、朝飯はMotel Oneの7ユーロをはるかに下回る5ユーロ。それでいて、smoked salmonも出て来ちゃうというのは非常に貴重なんですよねぇ。朝飯会場に行ってみると、テーブルが6-7組あって、食べているのはほとんどが中高齢者の夫婦者ばかり。

 フランクフルトには二日間で34カ所の美術館、博物館に入り放題という切符があります。一人では18ユーロですが、ファミリーカードは28ユーロですからこっちの方が得。フランクフルト駅の正面出口の外に向かって右側にあるtourist informationでこれを買いました。

 フランクフルト中央駅の周辺はミュンヘン中央駅を彷彿とさせるくらいの汚れようで、そこらじゅうでおしっこの臭いがプンプンするという実に情けのない状態です。
 それでも少し離れたら小学校があったのですが、その校舎がまたとても羨ましくなるような重厚さ。これ、日本にあったら名物になりそう。

 マイン川には歩行者しか渡れないという橋が幾つかあります。その一つを渡ると、その向こうにシュテーデル美術館があって、そこにはまだ見たことのないフェルメールの「地理学者」があります。
美術館前に来てみると切符を買う列ができています。お爺さんお婆さんばかりなのは平日ですから当たり前です。このカードで入れるのかと英語で切符チェックの人に聞くと返事はドイツ語で(私になんでわかると思うのよ!?)切符に替えろといっている雰囲気。しかし、まるで自分が差配しているような物言いに多少向かっ腹。列に並んで「二枚ちょうだい」というとその一枚で二人分通用という。ごった返した中で、荷物を預けろと言われる。預けに行って、途中でカメラを出そうとまたクロークに行くと、窓口のおばさんは露骨に嫌な顔をする。その上、彼女が向こうからこれか?と合図したので「うん!」とうなづいたのにもかかわらず、持ってきたら「ごめん、あっちだった!」といった時の彼女のあからさまな「バカじゃん、こいつ!」面ったらなかった。思わず私は日本語で「しょうがないだろ、間違えたんだから!」と返したけれど、全く効果ない。そりゃそうだ、彼女は日本語わからん。こんなところもそうなんだけれど、オランダ人と、ドイツ人の決定的な違いはこの辺にありそうだ。昨年の経験でもそうなんだけれど、ドイツ人はどうしてもその根底に人種的な優越感を隠し持っているような気がしてならない。まだあれから70数年しか経っていないんだからしょうがないといえばしょうがないのだろうか。
 
 印象派がこれだけ集まっているのはなかなかなもので、多分国内だけでなくて、近隣諸国からも見に来ているのではないでしょうか。フランスからも、ニューヨークからも集められています。だから、どこかで見た絵だなぁというのが幾つかあります。それにしてもモネをはじめとした印象派の作品は一体どれだけの数があるんだろうというくらい、次から次に見たことがない作品に遭遇します。

 そこへ行くとフェルメールなんて30数点しかないんだからチョチョイのチョイです、といってもさすがに個人所有のものとか、盗まれてどこに行った変わらないなんてのはもうほぼ見ることかなわないわけです。私にとってはアイルランドにある一点が可能性の薄い作品です。
 ここには「地理学者」があります。初めて見ました。今日は印象派展にばかり人の目がいっていますから、ほぼ独占状態です。来合わせたおじさんと目配せをしながら満喫です。なんだかこの絵の男性って、のっぺりした顔をしていますよねぇ。他の絵の女性群に比べると、なんだか現実感がないと思うのです。なんだか蝋人形のようで。掻巻のような着物も気に入らないし。

ここの展示物で嬉しかったのはセガンティーニでございますなぁ。もう見るからにセガンティーに、誰がなんといってもセガンティーニ。この静溢さを誰よりも見事に表しているのは彼しかいないですよねぇ。大好きです。誰も見ている人がいませんけれど。ここにもブリューゲルはyounger, elder共に数点。もちろんオランダ絵画を見るのにはオランダで見るのが一番ですけれどね。

 ここを出るときに表に貼ってあるエゴンシーレのポスターが目にとまりました。それで受付に戻ってあのポスターはどこのものかとお伺いしました。するとまぁ愛想の良い若い女性がそれはそれは丁寧に教えてくれました。シルン美術館でやっているということでした。この美術館からマイン川沿いに歩くと、美術館通りと呼ばれている通りに、何軒もの博物館が軒並みです。情報博物館には上に無線局のアンテナが立っています。建築博物館、応用工芸博物館(この手の名称がついた博物館は外国ではよく聞きますが、日本にもあるんでしょうか?)、フィルム博物館と続きます。
 教えていただいた歩行者用の橋を渡った先には何事か赤いものを身につけ、数々のゼッケンやら横断幕やら、幟のような旗を持った人々、それもほとんど女性が集まっていて、どんどんその数が増えていっています。一体、なんの抗議デモなんでしょうか。

シルン美術館そばまでやってくると、さすがにお腹が減りました。ちょっと見たところおしゃれな感じのカフェがあったので、やれやれとそこに入ります。英語のメニューをいただいたら「フランクフルト・スペシャル」みたいなところに芋とゆで卵のグリーン・ソースとかいうのがあって、連れ合いが「これが名物なのよ」とそれを注文。私は何かサラダとパンが欲しいというと、3種類ぐらいのサラダを提示してくれたけれど、ツナサラダにした。アンチョビとゆで卵と芋が入ったグリーンサラダで、ドレッシングが美味。これに炭酸水を注文して〆て28ユーロ。安くはないけれど、外食なんだからこれくらいはするだろう。

 シルン美術館に入ってみると、エゴン・シーレはさほどではないが(だってあれだけウィーンで見ちゃったんだから)、チェコ出身のフランティセック・クプカがとてもツボにはまって良い。といっても晩年の抽象的な絵に移る前、まさにアール・ヌーボー的なそれが私の気をひく。この美術館は全く商売っ気が無くて、ショップがない!なんだ、絵葉書を買おうと思って出てきたのに!

背中合わせの大聖堂にご挨拶に。外観に比べてそれほど大きな教会ではないのだけれど、次から次に入って来る中国人の団体が引きも切らず落ち着かない。彼らは私たち日本人ツアー客と全く同じで、ブラブラと入ってきたら、キョロキョロ辺りを見渡し、ひょいとカメラを構えてはフラッシュを平気で焚いて、写真を撮り、祭壇の前でポーズをとって写真を撮ってあっという間に出て行く。敬意のかけらもない。お辞儀の一つもしたらどうかと思うけれどねぇ。あ、これは日本人の団体客にもいっています。

 肉市場に入ってパン屋さんの前で旨そうなドイツパンを買う。「サン・フラワーの種の乗っているやつ」といったら、パン屋のおばさんが「これはそうじゃない、あれ、あの、ほら、ハロウィーンの!」といったところで私が「アァ、パンプキンね!」といったらお互い理解し合えてウンウンとニコニコ顔。そうか、ドイツでもハロウィンは祝うのか!




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2015年5月27日水曜日

150527

9日目

毎週水曜日と土曜日にLeidenの運河沿いで(といってもたくさんあるのでどの運河かわからないですが)計量所あとのまわりにマーケットが立ちます。蚤の市とか、観光用のマーケットではなくて、生活用のマーケットです。パン屋さん、八百屋さん、花屋さん、布生地屋さん、といった生活密着マーケットです。

 移動日なので、Leiden Centralからスキポールまで5.70ユーロを払い、残り、14.25ユーロを返金してもらいました。もともとこのOV-kaartの7.50と手数料2.50は返ってきません。このカードは2020年の9月まで有効なので、どなたか、オランダに行かれる方にお渡しすることだってできます。

スキポールの空港からルフトハンザ航空の991便でフランクフルトに移動。スキポールの空港もやたら大きい上に指定されたB-31ゲートは端も端。ずいぶん歩きました。ゲート脇から見ていると、私たちの荷物だけ後ろのベルトの横に置かれていて、せっかく積み込んだ郵便物を下ろしています。なんだろう?フランクフルトに降りてみて気がついたのは、このフライトに乗っているのはほとんどがトランジットの客で、そのままフランクフルトで降りるのはほんのわずかの人数だったのです。こんな距離、普通の人は電車かも。

 挙句にSバーンに乗るのに、同じS-8でも逆方向行きに乗ってしまい、となりのKelsterbachに行ってしまいました。しかし、幸いなことにその電車がKelsterbach止まりでしたので、それに気がついて、折り返したのですが、おかげで半時間ばかり無為に費やしました。ま、旅とはそうしたものであります。うんうん。

 フランクフルトの駅の構内はチューリッヒやミュンヘンと同じように汚い感じと荒れた雰囲気と、おしっこの匂いに満ちています。オランダではほとんど見なかったホームレスの人たちも駅前に佇んでいます。EUの中でも景気が良いとされているドイツの方がオランダよりも荒んで見えるのはどうしてなんでしょう。それでも人の数は数段多いのですけれど。

 駅の北出口から出てすぐにホテルが並んでいますが、私は出発直前にここから歩いて10分ちょっとかかるメッセにできたMotel Oneから古いホテルが並ぶ中の一つ、Cristallというホテルに換えました。駅に近いということと、なにしろ一泊60ユーロという値段に惹かれました。相当問題有りかもしれないなぁと思ったのですが、ホテルに着いてみると、受付まで階段が数段。受付はインド系の青年で、英語で話し始めたら、奥から東洋人のおじいさんが出てきて、この人が日本語なんです!驚いたなぁ。その上、このホテルチェックインすると水とワインを無料でくれます。どうなってるんだろう。しかも部屋の中はすっかりリフォームされていて、快適そのもの。なんだかB&Bにでも泊まっているような気分です。

そのおじいさんに教えてもらって、駅からすぐのROWE(全国どこにでもあるスーパーマーケットです)に買い物に出ました。駅構内で食べ物を調達しても良かったのですが、私たちは日頃からの部屋食に慣れちゃっているので、そういう手段に出ます。ROWEではサラダバーを発見!狂喜乱舞。そのうえ、ローストチキンなんぞを調達。ついでに柔らかソフトなトイレットロールも調達。なんたって、こちらのホテルの普通のロールは硬くていけない。まるで紙ヤスリのような気がするのです。てなわけで今日の部屋食はかなり豪華。




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150526

七日目

いよいよ、オランダ最後の日です。明日はフランクフルトへ向けて移動します。
 前回アムステルダムに滞在した五日間より、なんぼか楽しい一週間でした。もちろん二度目で慣れているということもありますが、何しろオランダという国がとてものんびりしている印象があって、その上、アムステルダムやロッテルダムのような都会は別にして、地方の町は特に暮らしやすそうに見えます。もちろん若い人たちは物足りないのでしょうけれど、われわれ高齢者にとっては、日本よりも数段のんびりしていられるような気がします。

それもひとえに宿をLeiden駅前に設定したからではないかと思います。ハーレムに入って、ハルス美術館を訪ねたのですが、こんなにいい町だったのかと、ひどく気に入りました。何しろお店というお店が軒並み小洒落ています。ライデンのガサツな雰囲気とは大きく異なりますし、アムステルダムのこすっからさがありません。行き合う人は目が合えば、昔のアメリカのように目で会釈をしますし、とても教育が高い雰囲気がします。

 アムステルダムに固執しなかったことが功を奏した形です。

 昨日のオペラといい、先日のコンセルトヘボウのコンサートといい、数々の美術館といい、今回の旅がオランダから始まったのは良かったなぁと思います。

だからというわけではないのですが、ここからアムステルダムへ回って、今日は午後はエルミタージュの美術館へ行きました。もうすでに電車にはいつものように遅れが出ています。
 アムステルダムまでは20分くらいです。オランダという国がそれほど大きくないのがこれでよくわかります。電車を使えば、どんどん移動していくことができます。
 アムステルダムの中央駅からはまた地下鉄で、ワーテルローまで。あのオペラハウスとエルミタージュはたいして離れちゃいないのです。

ここのエルミタージュはロシアのサンクトペテルブルクにあるエルミタージュの出張所(?)で、大体半年ごとに展示品は入れ替わるようで、今回は行ってみるとナポレオンがテーマで、ちょっと私にとってはあまり満足する展示ではありませんでした。しかし前回私たちが初めて入ったときは、レンブラントやら展示されていて、底の知れない収蔵品の数々を思わせて嬉しくなったものでございました。サンクトペテルベルグまでは出かける気もそれほどしないのですが、もし、エルミタージュがどっと見られるというのであれば、行くかも知れないですねぇ。

アムステルダムからライデンに戻るときには、電車がハーレム経由なのか、あるいはスキポール経由なのかという選択肢があって、スキポール経由の方がストレートに行きますから、近いのですが、なぁに、たいして時間も変わりませんから、どっちに乗っても大差ありませぬ。

 明日はいよいよ、フランクフルトへ移動します。







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2015年5月25日月曜日

150525

六日目

風邪の調子が回復しない。風邪クスリを飲むと途端に眠くなるので注意が肝要。今日は朝からエルミタージュへ行くつもりだったのだけれど、急遽やめてライデンの民俗学博物館へ行くことにした。そのあとは初めて見るオペラ。イタリア人の彫刻家をオペラにしたものだと聞いたけれど、こんな演目どこでもお目にかかったことがない。オランダは今日を入れてあと二日。明後日にはフランクフルトに移動。

昨年の10月から開かれていた民俗学博物館の特別展「GEISHA」が今日が最終日というので、あとで後悔してもならじと入ってみることにしました。「どちらから?」と聞かれ「日本です」と答えると受付の男性は「お楽しみいただけますよう」とおっしゃいました。しかしながら、ライデン大学に有名な日本語学科を抱えるこのライデンの地にある民俗学博物館の特別展としてはどうしても中途半端だといわざるを得ない展示になっていることが非常に残念であります。

 中身のほとんどというか、全部が京都の話で、これは京都の舞妓と芸妓展とでもいうべき展示でございます。その上、どうも花魁が混ざってしまっています。結局これまで誤解されてきたGEISHAの意味はその誤解を解くことに失敗しているように思えます。それでいながら、置屋のお母さんの言葉がやたらに微に入りだったりするのも、違和感満載。

午後からはDutch National Opera &Balletのオペラ見物。Hector Berliozという19世紀の作曲家の「Benvenuto Cellini」というオペラなんですが、聞いたことがない。彫刻家とそのパトロンの娘の道ならぬ恋の物語でございます。最後はハッピーエンドだから良いのですが、所々で観客の笑いと、驚きが交錯します。いやいや、まるでシルクドソレイユがオペラになったようだといったら大げさですが、これならお子供衆も楽しめるのではないでしょうか。

 久しぶりに夕食を外で食べました。ホテル・アメリカーナのカフェです。ここのプレゼンテーションは秀逸です。






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2015年5月24日日曜日

150524

五日目
聖霊降臨祭の本日、ライデンの朝はあくまでも快晴。雲ひとつなく、風も吹かず。街は全く静まり返っております。
 ところが中心街に行ってみると、とんでもない。ペンテコステなんだから何もないわけがない。シーボルト記念館の前の運河沿いの通路は「ジャパン マーケット」という露店が軒を連ねるマーケットになっていて、それはそれは大変な人出。若い人たちはやたらとコスプレ。いろいろ着物を着ている人がいて、中には男性で羽織付きのアンサンブルを着ている人すらいるわけです。あなたは何をしているの?と聞いたらIT系の仕事をしているのだけれど、日本にも行ったことがあって、着物はとても好きだというのですよ。ちゃんと足袋も履いて、雪駄を履いているのです。もちろん中にはそれはなんちゅう格好なの?という人もいるのですけれどね。

ライデン武道会という半纏を着た男女のお二人がおられて、勧誘をしているようだったのですが、新品の竹刀が木刀なんかと一緒に置いてあります。竹刀をどこで手に入れるんですか?とお伺いしたら、もっぱらネットで買います、という返事。そうなんだね、ネットのおかげでみんなつながっているわけですね。

 眺めながら歩いているとふと気がついたら二人のお子さんを連れた40代と思しき日本人のご夫婦がおられて、「ここにお住まいですか?」とお伺いしたら「ロッテルダムから来ました、この時を待っているんです」とおっしゃいました。多分アムステルダムからも遊びに来ていることでしょうねぇ。そうそうと思い出して、「オランダの電車、NSは毎日午後になるとダイヤが乱れているんですけれど、こんなものなんですか?」とお伺いしたら「そうなんです、日本のようなわけにはいかないんです」とおっしゃいました。どうやら日常茶飯事のようですねぇ。いやいや、日本も近頃はそう上手くもいかないのですけれど。人混みに紛れて、ご家族とはいつの間にか離れてしまいました。

 お昼ご飯を小さな、多分夫婦二人で動かしていると思しきブラッセリーでとりました。もちろんメニューは理解できませんが、英語の紙をお持ちくださいました。でアスパラのスープと、またまた鮭の燻製サラダを注文。これまた美味しい。二つで19ユーロです。日本円が安くなっちゃっているので換算するのは忍びない。大きな企業は大半円安で決算が大好調のようですが、個人消費者は大打撃でございますなぁ。




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150523

 四日目
 風邪の調子がよろしくありませんけれど、今日は土曜日ですから張り切ってアムステルダムへ向かいます。途中から雨です。8.20ほどの乗車賃です。スキポール線を通ってアムステルダムに到着して、すぐさまトラムに走ると、5番がまさに出ようとしているところで、飛び乗りました。

アムステルダム国立美術館は待ちに待っていました。ようやく改修工事が終わって全面公開となってから初めてです。行ってみると、お客さんがすでに30人ほど並んでいます。私たちは年間友好の「ミュージアムパス」を持っていますが、並ぶ列は全く一箇所のようです。連れ合いを列に残して前の様子を伺いに行っても何もわかりません。なにしろ誰も係りの人がいるわけでもないのです。後ろに並んでおられた英国英語を話すご婦人が「何かわかりましたか?」とお尋ねになるにもかかわらず、何もお伝えするものを持ち合わせておりませぬ。

年間のミュジアムパスはそのまま裏のバーコードを読むだけです。直接ゲートから入ることができます。このパスは二日目にデルフトのプリンセンホフ博物館で購入しました。一人60ユーロでしたが、今日の国立美術館の17.50ユーロで60ユーロを超えました。プリンセンホフが15+マウリッツハウスが14+ライデンのラーケンハル市立博物館が7.50+ロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館が15というわけです。

 今日は美術館だけでなくて、街中がごった返していますが、それもそのはずで、明日は聖霊降臨祭ですから、今日から月曜日までお休みです。幸いスーパーがやっているので食物には困りませんけれど、月曜日は一体どうなるんでしょう。

通常お休み日のコンサートホールというのは概ね昼のスケジュールです。今日はあのコンセルトヘボウでコンサートがあります。ずいぶん前に切符を取ったのでなんだったかと思ったのですが、ラジオフィルハーモニーオーケストラの演奏で、前半はSzymanowski - Concertouverture in E, op. 12と(これはかなり雄大な曲)Francesconi - Vertical Invader (In opdracht van NTR ZaterdagMatinee en Het Koninklijk Concertgebouw) (wereldpremière)というなんだか聞いたことがない演目で何だろうと思ったら、やっている方は面白いだろうけれど、聞いている方はあんまり面白くないという超モダン。体もだるいし、インターミッションで帰ろうかと思ったけれど、思いとどまりました。で、後半はBeethoven - Vijfde symfonie in c, op. 67 つまり「運命」で、これは非常によろしうございます。あんまり昔にとった切符だったので、演目をもう忘れておりました。

 ところでオランダでは何かというと、支払いはクレジットカードよりもデビットカードです。マスターズとかVisaとか出すと手数料を要求されるか、使えないよと突っ返されちゃいます。すぐさま決済できるもの以外は嫌だというわけです。まぁ、スーパーなんかは待ってられないし、危なかっしくて嫌だということでしょうけれど、国鉄に相当するNSなんかでもOV KarteにチャージしようとするとマスターズとかVisaだったら、一回につき50セントの手数料を要求されます。

美術館内を除いて、本日7,826歩。




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2015年5月23日土曜日

150522

三日目
 風邪の調子がよろしくございませぬ。咳が止まりませぬ。どんどん声がかすれてまいりました。

 のんびりとホテルを出まして、今日はライデンの街を歩こうじゃないかと動き出しました。レンブランドの生家の方が静かだからとそっちに回ったらちょうど四角い風車のそばの橋が船が通るというので上がっていました。通勤途中の人たちが待っているとやってきた小さな古い船は家族三人の船らしく甲斐甲斐しく息子が操船をしている横で60代と思しきお母さんはくわえタバコで見ています。ところがこの船が通り過ぎても、まだ他に船が通る予定があるとかで、橋が元に戻りません。みんな迂回の橋へ回ります。この時、近所のお兄さんがドローンを飛ばしてその様子を撮影していました。するとどうでしょう、カモメの奴らが次から次に飛んできてドローンにちょっかいを出します。人間はただ見上げているだけ。日本は騒ぎすぎ。そしてすぐに忘れちゃう。

 ところで全然話は変わりますが、オランダの八百屋が売っているマンゴーがこれ、むちゃくちゃ安くて美味いんです。よく日本で売っているものに比べたら多少小ぶりですが、完熟で、たっぷり甘くてたった1ユーロ。なんとコートジボワール産です。こりゃうまい。

 市立博物館に赴きました。ラーケンハル市立博物館といってライデンの繊維産業が盛りの頃に建てられた布メーカーのホールだったという建物です。産業革命前はライデンの織物といったら、それはそれは大絶賛だったそうですが今やまったくなくなってしまっているんだそうです。建物もなかなか趣があって興味深いものがあります。そのうえ、ライデンゆかりの画家のものがしっかりと管理されていて、なかなか好感の持てるミュージアムです。そりゃもちろん格が違うよ、ということになりますが、デン・ハーグのマウリッツハウスの係員たちの木で鼻をくくった態度とは大きく異なり、とてもファミリアです。

 かえりにレセプションのおばさまが日曜日にシーボルト博物館のそばでジャパン・マーケットが開かれますよ、というのです。そうか、それじゃ、今日はこれから日曜日に予定していたロッテルダムに行ってしまおうか、ということになりました。

 昼飯をどうしようかと言いながら電車はロッテルダムの驚くような近代的な駅舎へ。駅のインフォメーションのお姉さんに道を聞いたら、まっすぐ行けばいい、歩いてたったの15分だというのです。歩きました。結構あります。ここは荷物を持って入ることは許しません。私はわずかにカメラのみ。ブリューゲルがあるという話でした。しかし、お父さんブリューゲルのバベルの塔一枚きり。ドガもあの彫刻一点のみでしかもケース入りです。一部見られなかった部分もありますが、15-6世紀から近現代まで一応のラインナップです。

 連れ合い調査員の話によるとロッテルダム・ブラークの駅のそばで火曜日、金曜日、土曜日、日曜日にマーケットが開かれるんだというのですが、マーケットの準備はあるもののマーケットのかけらもありません。後で調べると金曜日の「き」の字もありません。どうしたこと?

 帰りはよれよれしながらロッテルダムの駅へ。スキポール経由アムステルダム行きという電車に飛び乗ったら、デン・ハーグHSのあと、スキポールまで全部通過です。ようやくスキポールに着いたのは午後550分。ところが戻る電車のホームに行ったら電車が軒並み遅れ。いったい何があったのか、皆目見当がつかない。そういえば、昨日も電車は乱れていたっけなぁ。


15,958歩。くたくた。

2015年5月21日木曜日

150521

二日目
 昨夜はもう我慢できずに夜9時には寝てしまいました。ふと気がつくと夜中の午前1時。たった4時間しきゃ寝ていません。午前3時にまた寝付いて、起きたら午前7時。結構寝ました。

 Leidenはまだ気温が10℃にも達していない、くらいで寒い!Accuweatherで天気予報を見ると、最高気温が15℃位だと。今日はNSに乗ってデルフト、そして帰りにデン・ハーグに寄ってマウリッツハウスを見る予定。前に来た時は工事中でしたから、一度も入っていないのです。


 ライデン・セントラルの駅からInter City 09:05発に乗ってデルフトを目指す。この時間になると乗っているのはほとんどが学生の様で、Den Hagg HSの駅でどっと降りて行った。彼らを見ながら、そういえばライデンには有名な日本語学科を持つライデン大学があるから軽い気持ちで日本語でいろんなことを言ったらすぐにばれちゃうかもねぇと笑う。

 Inter CityだとLeiden Centralを出ると次はDen Haag an NOIに停まり、Den Hagg HSと続き、その次は早くもDerftだ。Derftの駅は驚くほど綺麗になっていて、やたらと近代的。しかし、ホームにある機械にチャック・アウトしておかないと、それをするところがなくなってしまう。Leiden Centralのように改札口があるのはそんなにはないということだろう。

 とりあえず新教会を目指す。というのは新教会と市庁舎の間の広場には木曜日と土曜日にマーケットが開かれるという情報をわが家の情報大臣が集めてきていたからだ。まだ10時前なのでまだまだ準備が終わっていない店も多く、そのまま外装工事をしている新教会に入る。デルフトの新教会も、フェルメールが埋葬されているという旧教会も観光客には有料で、両方の入場料と新教会の塔への登り代を含めて、ひとり€6.50だった。
 さて、この新教会の塔である。とても狭い垂直の螺旋階段があって、その段数はなんと376段。もっと広い階段だったらまだしも(それでももちろんイヤだけれど)、人がすれ違うことがほぼ不可能ではないかと思われる狭さだ。実際、降りて行く時にあがってきたお爺さんとすれ違うのは容易ではなかった。しかも途中から木の板の階段になってしまう。そうすると蹴込みが素通しだから、なんだか下が見える様な気がして、すぐさまビビる。上に上がった時は息も絶え絶え、冷や汗がじんわり出ていて、顔はしかめ面。泣きそうだった。外に出ると、一歩歩くごとに膝がガグンときて、歩きにくいっちゃありゃしない。


 外のマーケットは昼近くなるとどんどん人が出てくる。平日の昼間だというのに、食べ物屋さんの前には多くの人が列を作っている。中でも魚のフライ屋さんは大人気。わたしたちも加わる。白身の魚のフリッターがタルタルソースがついて3.75。昼飯はこれで満足だった。他に搾ったオレンジジュースと試食しておいしかったパンを買った。不思議なことに試食のパンも、チーズもとてもおいしい。木曜日は旧教会近くの運河に沿って骨董市も出る。掘り出し物は何もなかったけれど、この種の店は欧州に来たら必ず冷やかす。
 そうそう、オランダの蚤の市で必ず見るのが小さな階段屋根の家の格好をした陶器のボトルだ。屋根の部分が穴があいていて、そこに蓋があるものや穴があいたままのものがある。裏を見るとKLMとかBOLSとか書いてある。骨董屋の親父になんだと訊くと、かつて飛行機のビジネスやファーストに乗ると、ノベルティの様に提供された酒の容器だったという。一体何に使うのかと不思議だったものがひとつ氷解した。
 
 旧教会はフェルメールが埋葬されているという。他にも立派な墓が教会の床に所狭しと埋められている。フェルメールのそれはまったくただのネームプレートの様なものだ。新教会も旧教会も生活感がないというか、まったくの観光施設となっていて、礼拝が行われている実感がまったくない。それでも聖歌の番号を記した板は掲示されている。日曜礼拝は別館で行われていますという札が立っていたけれど、本当にそういうことなのだろうか。そういえばこの街は人口の割には大きな教会が二つもあるのが不思議だ。

 旧教会から出てきて暖かい日だまりのベンチでややしばらく暖まってから、運河の反対側にある「プリンセンホフ博物館」(Het Prinsenhof)に行ってみる。スペインとの戦争の間、オラニエ公ウィレム一世 が拠点としていた場所で、元々は16世紀の修道院だったそうだ。フェルメール・センターではオランダの年間博物館カードを訊いてみたけれど、そんなものはないといっていた。それでここでそれを訊いてみると、「あぁ、ミュージアムカードのことね!」と理解してくれたから、あっちでは通じていなかったのかもしれない。二人で手数料を入れて€119.80をカードで払う。これはかなりの美術館をカバーしていて、このまま入れるところもあるし、これを提示して切符を貰うところもある。ここではべつに切符を出してくれた。私の小さな鞄もロッカーにいれといわれたけれど、インドネシア系と思われるおじさんがわざわざロッカーまでいってトークンを入れてくれ、終わったらこれを返してくれといった。

 中はオランダのスペイン支配を跳ね返した不屈の歴史を手を変え、品を変え、かなりハイテクを駆使して教えてくれる。肖像画とおぼしきものものが横にある受話器を外して耳に当てると、動き出して、その時の心境を語ってくれたりする。以前きた時にライデンを案内してくれた現地の日本人ガイドの方の話に依ると、ライデンがスペインに抵抗してこれを打ち破った時に、王様から何が欲しいか?と訊かれてライデン市民は「大学を作ってくれ」と要求してできたのがライデン大学だという。

 駅に戻ってくると、やたらと人が列車表示板の前にたむろっている。15分ほどでDen Hagg Centralにいく電車が来るという時刻表なのに、プラットフォームに降りるところにある掲示板には15:43の電車が表示されている。そこにいたNSの社員らしい青年にきくと、それまで電車は来ない、ロッテルダムへ行く電車は走っていないという。なにかが起きているらしいけれど、アナウンスはオランダ語でしかない。それにしてもオランダ人はほぼ全員、誰でも英語を話す。この青年もそうだけれど、骨董屋の親父も、出会う人は誰でも、本当に老若男女誰でもだ。

 Den Haag HSで降りてトラムでセントラルまでいく。前回は工事中で入れなかったマウスリッツハウスへいく。王宮の隣に建っているのがそうだとは知らなかった。駅の前でとラムを降りてしまったけれど、もっと乗って行けば良かったのだった。前回来た時(2012年)ヨハネス・フェルメールの真珠の耳飾りの少女を見たのは監獄博物館と市立美術館の二回だったからこれで彼女とは三回目のご対面だった。何しろ工事前を知らないから比較ができないのだけれど、それはそれはとんでもないほどに近代的だ。何しろ近代的すぎて地表から地下の受付(わざわざ地下に受付がある)に降りるシャフトエレベーターは入り口がよくわからない。

 カウンターでミュージアムパスを見せると、ここではそのまま入り口でバーコードを読み取る方式だった。ここに入った時にはほぼ午後4時になっていた。実は木曜日はマウスリッツハウス美術館は午後8時まで開いている。最初はそうでもなかったけれど、そのうち、次から次に日本人のおばさんを中心にしたツアーの人たちに囲まれていた。みんな日本語のヴォイス・ガイドを持っている。いくつかのフェルメールに再会。しかし、あとになって気がついたけれど、The Gallery Prince William Vとやらに行っていないがどこにあったんだろうか。

 ポッターの牛がこんなに大きな絵だった記憶がないなぁと云いながらあのカエルの意味はなんだろうかというのは未だに謎が解けない。

 Carel FabritiusThe Goldfinchは市立美術館で見た時は、部屋の入り口を振り返る様な壁にひっそりとかけられていて、誰も振り返ろうとしていなかったので、密かに見つけた自分のお気に入りのような気がしていたのだけれど、今回の展示やミュージアムショップでの扱いを見ていると、とんでもない、気がついていたのはお前だけじゃないんだと宣言されている様で、そりゃまぁ、当然そういうことだろうよ。

 レンブラントの自画像はあれからあっちでもこっちでも、多分全部で10枚近くは見ている様な気がするのだけれど、ここのは別格な扱いである。説明書きを読むと(ここは英語でも書かれている)、なくなった年に描かれたもので、だから最後の肖像画だろうとされている。そこにはそれでもこれだけの力があったのだとしている。例の夜警を描いてから評判がた落ちで晩年は晩節を汚した暮らしだったと云われているけれど、力は落ちていなかったのだ!と云わんばかりの説明書きで、好感が持てるではないか。
 帰りはせっかくだからビネンホフを通って駅と反対側に出る。懐かしい風景だ。駅に向かって歩き出すと多分はやりの有機系スーパーマーケット、マルクトがあった。安くはないが珈琲とパンを買う。どうも試食するとすぐに買う癖がある。途中の停留所から通りかかった1番のトラムでDen Haag HS駅まで乗る。


 Leiden中央駅に帰ってきた時はごご7時近くだった。駅の構内にあるJulia’sというパスタ屋でペンネとラビオリをテイクアウトする。二つで€11なり。この種のパスタ屋はウィーンの西駅の地下で食べたことがある。帰りに歩いているとiBisの並びにも同じ系列の店が入っていた。それでも駅の店員さんが奮闘している姿がとても好感が持てたのだ。ALDIの安いサラダとペンネで満腹。ちょっと風邪気味で気管にきているのが気になる。

SBB

   スイスの鉄道、SBBのアカウントが今でも生きていた。しかも、今ではもうMobileのアプリでそのアカウントを使って、切符を買うこともできる。  たしかに便利になっているんだけれど、実は外国人向けの一ヶ月有効なHalf Fare Cardの買い方は至極面倒で、どうしてもスイス...