前回ボストンに行った時に、ハーバード大学の構内をほとんど歩きませんでした。他人が卒業した大学に行ってなにが楽しいものやらと思っていました。いまでもその考えは変わりませんけれど、おかげで、あの大学の美術館をめぐっておりませんでした。
しかし、そのまんま地下鉄の赤線に乗って行くのでは芸がないので、まずオレンジ線でSullivan Squareまで行きます。手前の駅から地上に出るのですが、出てみるとその辺りは見渡す限り、工場、倉庫の類です。わざわざおりたくなるような駅じゃないです。しかし、ここの駅から86番のCleveland Circle行きのバスが出ています。これに乗ればハーバードサークルを通ります。
ガランとした駅前に出ると、バス乗り場がupperとlowerになっています。それくらいここの駅から何本ものバスが出ているっつうわけです。
その停留所がどこかなぁと見渡していると、そこにみるからに怪しげな爺さんが二人、暇そうに陽だまりに座っています。家なき子じゃないかという雰囲気がします。「なにを探している?」というので「86番」といったら「あっちのハズレだ」といいます。いやぁ、便利なインフォメーションセンターです。アハハ!
10分ほど待つうちやって来た始発バスに乗り込んだのは半分ほどが学生らしい若者たち。私たち二人はかなり違和感がある存在。バスはいっきに西を目指してWashington St.を走ります。しばらくは怪しいまんまですが、だんだん両側が小さな一戸建てになり、それが一気に垢抜けてくるとそこがハーバード・サークル近く。
ハーヴァード美術館は数年前に改修増築が終わって、いくつかの施設が一緒になったそうで、十数年前の図書館の廃棄本でもらった「歩き方」に出ているわけがありません。(どういう旅行してんだろうか)。
それにしても一大学が持っているコレクションとはとても思えないほどの数々です。これで全部が展示されているわけはないのですから驚き桃の木でございます。一番驚いたのは1,500年ほど昔のアフガニスタン、イランあたりのもので、一体どうしたらこんな細密画を描く根性と道具が手に入るのかというものです。横に天眼鏡が用意されていていつまでも見あきません。(それにしてもアメリカ人ジジババの4人組がやかましくてしょうがない。こんな非常識な連中がやってくるのかと思わずにらめども、馬事東風。)
日本物の中で驚いたのは「快慶作」と書かれたやたら大きな仏像の左手です。
昼飯はここの一階にあるカフェのラップサンドイッチで済ませました。大学のキャンパスを通り過ぎて、さっき乗ってきた86番にのってどんどん西へ走り続けていきますと、あっと思ったらバスがグリーン線の線路を渡りました。この辺で中心部に戻った方が良いな、と思っているところでバスがCleveland Circleの駅で停まりました。すぐさま飛び降ります。グリーン線のC線の終点駅です。じゃ、次は電車だ!と駅に入ろうとするとそこになぜか10代の日本人の女の子達が数人固まっています。久しぶりに見た日本人がこんな若い子達で、しかもこんな駅、ってどういうことなんだろうか。
駅で待つことしばし、しかしなかなか電車は来ません。ようやく来たと思ったら、なんと電車は始発ではなくて、どこかずっと遠くから来たみたい。満員ですよ。こんな満員見たことないというくらいの満員。いったいどうしたことかと思ったら、この電車はC線の電車ではなくて、D線の線路を走っています。どういうこと?
これまで直線的に書かれた路線図しか見ていなかったのだけれど、Cleveland Circleの駅ってD線のReservoirの駅であり、バスが横切ったB線のChestnut Hill Ave.の駅と300mも離れちゃいないんです。私が待っていたホームはD線のホームだったわけ。
どうせだからというのでHay marketまで乗っていき、イタリア人街までいってMike's Pastryででれでれだらだらとしていて、きちんと並ぼうとしない米国人にいらつきながらようやく例のお菓子を買い(今度はひとつだけ、ピスタチオまぶし、一個4.50ドル)、スパゲティを食べて帰ってきました。安くはないけれど、美味しうございました。
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