今日は一日船上航海中。一気に北上します。なにしろ45-6時間の間走り続けようというのですから、どれほどの距離なの?ってなものです。
Seattleという港はかなり内海に入り組んだところにある自然の良港というやつなので、これからでるのに、スピードを上げるわけにいきません。夕食をダイニングで食べてから、風呂に入って寝てしまい、ふと気がつくと船の汽笛が間を置いて何度も鳴っています。何事ならんとベランダのガラスに手をかざしてみると、外は真っ白な霧です。こりゃ昔だったら相当に怖い。しかし、今の航海計器というものはコンピューターのおかげでびっくりするほど発達している。いくらこの船が古いといっても、その辺はかつてとは違う。
朝早く目がさめると、プロムナードデッキの木甲板は波の飛沫でなのか、濡れている。いくらなんとも飛沫がここまで上がってくることはちょっと考えにくいので雨が降ったということだろう。一日航海日だから、外に出るといってもデッキしかないし、歩こうとすると、ぐるぐる回っている人たちは同じ人で、やたらとすれ違うのはきまりが悪い。(この時点ではジムの存在に気が付いていません。いくらなんでもジムのないクルーザーというのは考えにくいので、疑問を持っても良いのに、この時は思いが至っていません。この船のジムはDeck-9の前方にありますが、あんまり前のほうに行かなかったし、夜になると9時にはこのジムは閉まってしまうのです。下のデッキがキャビンなので、多分音の関係かと。)
この辺は鯨が多いというし、うまくしたらまた今日も見られるかもしれないと、部屋のベランダの窓越しに陸との間を見るともなしに見ていると、あ、あらわれた!あらわれたなんてモンじゃない。船のすぐそばをまるで船から逃げるように、そんなに大きくはない、明らかに鯨の丸い胴体が泳いでいく。
そのうちふと気がつくと、今度は海の上に大きな虹がかかりました。そりゃ確かに海の上に雨の降っているところがあるんだから、虹がたっても不思議はありません。それにしても不思議な景色。ところが洋上の虹はこんなものでは終わりませんでした。次から次に、虹が立ちます。それだけ雨雲が近づいたり、遠ざかったりしているということです。
次から次というのは虹だけではありませんでした。鯨が吹く潮も、次から次に見ることができました。さすがです、ここの鯨はたくさん生息しているんですよねぇ。
今夜はフォーマルデーなので、メインダイニングやお高いダイニングではもっぱらみなさんフォーマルでお出ましの様子ですが、私たちが食事に出て行ったひとりエクストラ10ドルのイタ飯ダイニングはバフェの隣にあるので、せいぜいスーツくらいのおじさまがおられるくらいで、私もカーディガンで行ってしまいました。
給仕のインドネシア人の彼がなにしろ最初からシェアを考えて注文したほうがいい、なにしろどれをどれだけ頼んでもいいわけですから、とおっしゃるので、結局ふたりで5品を注文。茄子と野菜のみじん切りのオントレー(これをバゲットの上に乗せて)、パスタは平打ち麺のクリームソースでぷりっぷりのエビ。ポークのピカタといいながらほとんどウィンナー・シュニッツエルのようにしたものを極細のパスタの上に乗せてバルサミコソースをかけたもの、野菜の千切りワインソース和え、なんてものを貪り食う。
ここで食事をしている間に、カナダの沿岸警備隊の船を見ました。停船しているのです。一体何事ならんと思ったのですが、隣のテーブルのご主人が仰るには、多分ここがカナダとアラスカ州の国境沖になるんじゃないのかと。あ、なるほど、私たちは米国から出港して米国アラスカ州を目指すのですが、その間にはカナダのBC州がありますよねぇ。
食事中にも虹が出たり、鯨が潮を吹くのが見えたりして、隣のテーブルのご主人が「あなたたちが来てからいろいろ起きますね」とお愛想を言ってくれました。このご夫婦とはその後いろいろなところで遭遇しましたが、大変にわかりやすい英語だったのが印象的でした。
私たちは荷物の削減のために極端に衣類を減らして出かけるので、毎晩洗濯をしています。そのためにワイヤーハンガーを各4本持ってきています。この船はファンを止めるということがどうもできないようで、常に回っていますから、洗濯物の乾きが早い!その分空気が乾燥していて喉が痛くなります。ここがちょっと欠点。やっぱり船が北上するに従って、だんだん寒くなってきます。
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