20日目
Murrenから昨日と全く同じ09:06発の電車でGrütschalpへ。そのままロープウェイでLauterbrunnenに降り、Kleine Scheidegg行きの電車に乗ります。電車の中はクライネシャイデックから乗り換えてThe Top of Europeといっているユングフラウヨッホへ向かう観光客でワンワンしています。しかもみなさんほかの乗客のことなんて眼中にありませんから置いてある荷物を自分の膝に置いて席を開けるなんてことは絶対にしません。
私はインド人夫婦と2歳半の息子の席に空いている端に、連れ合いは西洋人の老夫婦の端に。
ロープウェイでMännlichenを目指すためにWengenで降りようと立つと、そのインド人の旦那が、クライネシャイデックはまだだよ、というのでそれは知っているけれど、僕はここで降りるのさ、というと、彼はびっくりした顔をしていました。みんながみんなユングフラウヨッホを目指していると思っていたわけですね。
この路線では通常ダイヤの編成に必ず団体予約専用編成が連なって走ります。この頃から夏が終わるまで続きます。
Wengenの街はMurrenの村に比べたら数段リゾートらしく、しかしそれでもグリンデルヴァルドにはかないませんが、COOPも大きなものが駅前にあります。
ロープウェイは半額で片道一人11フラン。私たちはそこからクライネシャイデックまで歩くつもりです。乗客は10人もいない程度で、一番多いのは若い中国人の男女5人組です。
かつて6年ほど前にMännlichenに反対側から上がったことがあって、その時もクライネシャイデックまで歩いたのですが、とにかく花ばかり見ていて、全然周りを見なかったことがあって、今度は十分周りを見て、つまり山を見て歩こうじゃないかという発想だったのです。
その時にはMännlichenに展望台があったことも知らず、今度はそこにまず上がろうというのですが、見た目は簡単そうなんですが、直線的に一気に上がる展望台なので、辛い、辛い!その上、下が撒いた砂利で、ズルズル滑る。いや、怖いのなんの。え?お前の話は怖い、怖いばっかりだ?だって、そうなんだもの。さっきロープウェイで一緒だった中国人の若者たちが自撮り棒でワァワァキャァキャァ。
ようやく下へ戻り、身支度を整えて、さてクライネシャイデックへ降りよう、と思ったら道標にKleine Scheideggの文字が見当たりません。それがあると思しき、例の黄色い道標を見ても、上から何かを貼り付けて隠してあります。変だなぁ。
そこへ英国人の男性二人がやってきたので、「クライネシャイデックへ下るのか?」と聞いてみると「雪が深いところがあるというのでオフィシャルにはクローズってことになっているんだって。しかし、明日にもオープンの予定だっていっているからもう大丈夫だろうと行ってみるところだ、うちの連れ合い女性二人もいっているしね、It's up to you!」というので二人相談の結果、追いかけてみようということになった。
確かに周りは雪がずいぶん残っている。これで大丈夫かなぁと思いながら行くと、ロープで行くてを閉鎖しているところがあって、さすがにこれじゃダメだなと彼らが方向転換したのを見て、どうしようかとまた相談。
そのうち行くての雪で埋まっている部分に人影が見えたので、双眼鏡を取り出してみると、いるいる!確かに何人かがその雪を踏みしめ踏みしめ進んでいる。私たちはこれ以上危険を冒してもしょうがないので撤収しようということになった。
もとへ帰る途中、下への分岐があって、そこの道標にはAlpiglenと書いてある。クライネシャイデックの駅ひとつ分グリンデルヴァルド方向にある駅の名前だ。ここへの道が平気なら、少し長くなるけれど、ここへ降りよう!ということに(たった二人だけれど)衆議が一決。降り始めた。
すると、それほど行かないうちに残雪だ。たくさんの足跡だけでなくて、犬の足跡まである。これならいっちゃえと慎重に渡る。後ろから一人、二人と追い抜いていく。必ず挨拶をする。
下から上がってきたおじさんがいた。Alpiglenからか?と聞く。なんで聞くという顔でYesが返ってきた。
何箇所も残雪を超える。抜いていく人たちは早い、早い!あっという間に見えなくなる。マイペースで降りていくと、だんだんに花が見えてくる。アイガーの北壁が少しずつだけれど、大きくなっていく。そのうちに反対に上がってくる6人組と遭遇。かなりの年齢の人たちだ。
後から考えてみるともう半分近くまでやってきて、一休みするかなぁと思っている頃、後ろの方で小さな雷の音が聞こえた。追いついてきちゃったら面倒だからと、足を早めるがクライネシャイデックの建物が見えるあたりに来て、とうとう、ポツポツと地面に当たり始めた。小屋でやり過ごすことも考えたけれど、長引くかもと、できるだけ行けるところまで行ってしまおうということで、カッパを出して雨装備にした。二軒の小屋があるところまできたら軒先で雨をやり過ごそうとしている人たちがいて、挨拶して通り過ぎたら、あっという間に雨に追いつかれた。
頑張っていくうちにまさに避難小屋があったのでお弁当を食べながら雨をやり過ごす。
そのうち気がついたら、さっきの二人組が雨支度をしっかりした格好で追い抜いて行った。なんだ、持っていたのか、って当然だろう。
ほとんど小止みになったところで、Alpiglenの駅に向かって歩き出す。すぐに駅に回り込んだかなと思うところで登ってくる電車を発見。小走りに駅に走り込むと車掌の女性が待ってくれる。登山電車はこんな時、遅いから助かる。車掌に切符を売ってというと、機械が壊れてしまって、クライネシャイデックで買えるようにするからという。
クライネシャイデックに来ると、なんとここには雹が降った跡がある。そうか、あの雷で、雹まで降ったってことなのかと驚く。クライネシャデックはインド人観光客でごった返している。もう怒涛の人の流れである。駅の切符売り場へ行くのも大変だ!
私たちはWengenまでで降りて、朝はゆっくり見られなかったから、街を見物するつもりだった。しかし、雨は止まない。結局大したものもなく、駅前のCOOPで水を買って帰ってきた。MurrenからWengenの往復切符は半額でひとり17.80フラン。それに引き換え、AlpiglenからWengenまでの切符は半額でひとり18.00フラン。なんだか高く感じる。
Wengenまでの電車では向かいに座っていたインド人の若者カップルが、話を始めてみると、Sydneyからやってきたというので、Sydneyの話で持ちきりになった。Sydneyはチャッツウッドだけじゃなくて、もうほとんどのところが中国人マネーに牛耳られちゃっているんだと嘆いていたのが印象的だ。ひところの日本人のバブル時期の評判そのものと瓜二つ。もっともインド人にいわれるのもいかがという気がしないでもない。
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